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公衆電話

 今日は9月11日である。世の中何が起きて18年と記事が並ぶ。それはそれで風化させてはいけない出来事だろうが、ここで語るには気が重い。そこで今日は何の日と調べてみたら、日本で初めて公衆電話が設置されてちょうど119年だという。

 今では殆ど見なくなってしまった。緑色、あるいは黒色や灰色ともいえるだろうか、人によっては赤や黄色を思い浮かべる人もいるかもしれない。透明な建屋の中、あるいは駅の机に直置きされている直方体。最早いまの子供たちは使い方すらよく知らないという。磁気テレホンカードなんて久しく見た記憶がないし、バスセンターや空港で見かけたテレカの自販機も最後に見たのはいつのことだろう。そういえば、小学校の頃に厳島神社の鳥居の写真が入ったテレカを持っていた気がする。ほとんど使った記憶がないが、まだ実家のどこかに眠っていることだろう。最後に使って10年余り、もうカードの磁気も飛んでいる頃だろう。

 そんな公衆電話だが、私は過去に数回しか使ったことがない。小学校低学年の頃、まだガラパゴス携帯すら持っていない時に母親との連絡で使った気がする。初めて使ったのは小学1年の頃だろうが、使い方を、電話番号を間違えないかと少し緊張したものだ。最後に使ったのは高校3年生、大学受験の合否照合である。その大学は受験番号の掲示に先駆けて、電話で自動音声によって合否発表をしていた。たまたまスマホの充電を忘れ、学校の公衆電話を使うことになった。10円玉を入れてかけてみたら途中でお金が足らなくなり、結局100円玉を突っ込むことになった。流れてきた音声は「おめでとうございます。合格です。」、公衆電話横で人知れず歓喜の声を上げた。何の因果か、そのままその大学学部学科に入学することになった。

 携帯電話が普及する中で姿を消してきた公衆電話。ドラマのワンシーンや歌詞の一節でも、もう見かけないだろう。緑でカード挿入口がついたお馴染みのものが博物館に飾られる日もそう遠くないのかもしれない。少なくとも、私の人生の節目の登場人物ではあるし、記憶には深く刻み込まれている。一応、それらの記憶はまだ鮮やかだが、博物館でお馴染みの緑や黒を見かけた時、そんな鮮やかな記憶もセピア色の輝きを放つようになってくるだろう。

by Agotetsu | 2019-09-11 21:32 | 随筆っぽいもの

ふところがみにかきちらし。日々浮かんでくる由無事をネットの海に垂れ流したいという欲求から生まれた何か。中の人はある同人サークルで編集担当をしています。


by Agotetsu
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